成婚退会前の同棲が推奨されない理由とその背景
結婚相談所における「成婚」とは、婚約や結婚の合意が明確に取れた状態を指します。多くの大手相談所では、成婚=結婚の約束とみなし、それ以降は結婚を前提とした行動が許容される一方で、在籍中の同棲や婚前交渉には厳しいガイドラインを設けています。これは、在籍中の交際はあくまで「成婚に向けたプロセス」であり、最終決定ではないからです。
同棲は、生活を共にすることで互いの価値観や生活習慣を深く知るために効果的な手段ですが、成婚退会前の段階では多くのリスクを伴います。まず、結婚に至る前に同棲を始めることで、片方が「このままの関係でもいい」と感じてしまい、結婚そのものが先延ばしになったり、自然消滅したりするケースが後を絶ちません。結婚相談所ではこれを「仮成婚トラブル」と呼び、明確な成婚退会を促す理由の一つになっています。
また、同棲によって起きやすいトラブルの代表例が生活費の分担やプライベートの侵害です。金銭感覚や家事分担、仕事との両立に関する考え方など、実際に住んでみて初めて発覚するズレが原因で、成婚目前の破局に至ることもあります。このようなリスクを避けるために、多くの結婚相談所では成婚退会前の同棲をルール違反と明言しています。
加えて、同棲開始によって相談所の活動ルールを逸脱した場合、強制退会やペナルティが発生するケースもあります。在籍中は「相談所ルールの順守」が義務であり、カウンセラーや仲人が状況を把握できない形での同棲は、サポート体制にも支障を来たすのです。
以下は、同棲による主なトラブル要因と相談所側の見解を整理したものです。
トラブル要因 |
内容 |
相談所の対応例 |
金銭感覚の違い |
家賃や生活費の分担に不満が出る |
同棲を避け、結婚後に話し合い推奨 |
生活習慣のズレ |
片付け・就寝時間・食事スタイルなどで摩擦 |
成婚退会後に生活リハーサルを推奨 |
結婚のタイミングが不明確に |
同棲により結婚の必要性が曖昧になる |
成婚を優先し、同棲は結婚直前に設定 |
相談所への報告が不十分 |
同棲開始が黙って行われることで仲人のフォローが不能になる |
面談や相談の機会が減少しサポート低下 |
相談所ごとに異なる同棲ルールと注意点(IBJなど実例あり)
結婚相談所によって同棲に関するルールや対応方針は異なります。代表的な例として挙げられるのが、業界最大手のIBJ(日本結婚相談所連盟)です。IBJでは、同棲は「成婚退会後に行うべき」と明確に示されており、交際中の宿泊や同棲はルール違反に該当します。他の相談所でも、成婚退会前の同棲を禁止しているところが多く、ルールの差異はあるものの、基本的な姿勢は同様です。
以下に、主要結婚相談所の同棲に関するルールを比較した表を示します。
結婚相談所名 |
成婚退会前の同棲 |
規約明記 |
備考 |
IBJ |
禁止 |
あり |
交際中の宿泊も原則NG |
サンマリエ |
原則禁止 |
あり |
特別な事情がある場合は相談可 |
ツヴァイ |
判断に委ねる |
一部あり |
カウンセラーとの相談が必須 |
オーネット |
禁止 |
あり |
在籍中の交際制限が厳格 |
ノッツェ |
明記なし |
無し |
実質禁止に近い運用が多い |
また、ルールが存在する場合には、違反した際のペナルティや再活動の制限なども定められていることがあります。例えば、成婚退会前に同棲を始めたことで「成婚扱い」となり、再入会ができなくなるケースも報告されています。
注意したいのは、「相談所に報告すれば許可される」と誤解してしまうことです。実際には、ルールとして明確にNGとされている場合が多く、交際相手の気持ちや家族の意向も含めた慎重な判断が必要です。